"はんなり"を目指して、お茶事に装うきもののあれこれを綴っています

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季節によってふさわしいきものが変わってくるのは当然ですが、茶会や茶事の主旨によっても、似合う装いは変わります。
各茶事について、似合う色や柄、取り合わせ方などをまとめました。これしかない、というわけではなく、その茶事の趣きを大事にすることが 一番良い装いだと思います。少し華やかさをプラスした方がいいのか、侘びた色めや柄でおさえた方がいいのか・・・などの参考にしてください。 また、季節ごとの詳しい花や柄については■茶席のきものを学ぶページをご参照ください。




3月末〜5月にかけては、花見の茶事や大寄せの茶会が多く行われます。
春に先がけて咲くのは梅の花ですが、梅見は2月で気候もまだ寒いため、その年の陽気によって3月〜4月の桜の花見の頃から始まる場合が 多いようです。桜の中でも、八重桜を遅咲きとし、桜が散れば藤、藤のあとは桃、牡丹、あやめ、花菖蒲など、次々に美しい花が咲く季節です。 このような花見の茶会には、そのときの盛りのきものを着るよりも、一歩先がけての装いが美しいとされています。また、花は眺めるものとして、 花にこだわらないきものや帯が引き立つ場合もあります。

色無地
花柄や流水などを織り出した、紋綸子地の一つ紋付。色めは、きつい色は避け、桜色や若草色、水色や藤色、鶯色や藍ねずみなどを選ぶとよいでしょう。
春にふさわしいような、淡い色めにし、帯で季節感を出すと調和します。
帯は、有職文で、花立涌、向い蝶、花の丸など。
初風炉の頃になれば、端午の節句にちなんだ薬玉、花筏、名物裂れ写しの笹鶴緞子などで季節感を表します。
訪問着
枝垂桜、満開の桜、散り桜など、桜の模様は若い方から中年、年配まで向くものがあります。
帯は、春の海を思わせる貝合わせ、貝桶などの取りあわせも楽しいですね。
また、遠山や霞の柄も、春にかかわりのある趣きがあって引き立ちます。
初風炉には、すっきりして上品な茶屋辻、御所解きなどの古典模様に、矢筈、鎧威(よろいおどし)などを織り出した帯を合わせると季節感が出ます。
花菖蒲や八つ橋、かきつばたもいい柄です。
葵祭りにちなむ御所車、葵文を織り出した帯もいいでしょう。
江戸小紋
小桜散らしや、桜と松を組み合わせた小紋柄などがあります。遠めには無地に見えますから、花柄の刺繍帯を合わせてもよいでしょう。
刺繍や織りの帯なら、牡丹、ぼけ、木蓮や藤など。3月、4月に用いられる柄は数多くあります。
雛祭りを思わせる笛の柄なら、染めにも織りにも見つかります。
4月には青麦、山吹の花など。5月には荒磯緞子の帯を。花菖蒲、鉄線花も5月。青楓は5月から6月にかけて。
6月には百合があります。七夕にちなんだ柄の短冊、色紙の帯もはやめに使うことができます。
九寸名古屋帯の中では、染め帯よりも刺繍の帯のほうが格が上になります。
小紋
藍更紗、藍型のように、さわやかな色めがふさわしいでしょう。
月にちなんだ柄の織りや刺繍の帯、季節の花柄の帯をあわせるとよいでしょう。
・渋いピンクの紋意匠縮緬の色無地×枝垂れ桜の花熨斗文を染めた塩瀬羽二重の帯
・明るい紫に枝垂れ桜の訪問着×おさえた金銀箔の変わり亀甲袋帯
・淡い水色に藤と琴柱の刺繍をさした付け下げ×春霞の山々を織り出した帯
・淡いたまご色のぼかしに白根葵を染めた訪問着×遠山と雲どりの金通しの袋帯
・しっとりとした藍ねずの地色に月見草と水引草の付け下げ×コプト柄を織り出した袋帯

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7月から9月にかけては、朝茶が催されることが多いようです。まだ日の昇らぬ6時頃の案内で、すがすがしい茶事を楽しむという趣向です。 形式は正午の茶事に準じますが、懐石もあっさりとした軽いものにし、なまものは出しません。点前も続き薄茶にするなどし、陽射しの 強くならないうちに終わるようにします。
朝のはやい蓮見の茶、夕方の納涼釜などがあり、昼間の茶会は暑さを避けて、午前中に行われることが多いようです。
暑さのなかでは、涼しげな装いが第一。暑苦しい色目や柄は向きません。男性は紺やねずみ色などの麻の無地に十徳、または絽袴を合わせます。 女性の正式な場合は、色無地一つ紋、付け下げなどの軽いものを用います。
長襦袢は吸湿性と速乾性のある麻が一番といわれています。
帯は、7月8月の盛夏には夏帯を締めますが、涼しいのはざっくりと織った八寸名古屋帯です。帯あげは絽や紗。帯締めはレース風に編んだ 夏用のものか、通年使用できる細めの組みひもを合わせます。
色無地
赤系統は暑苦しいので、水色や瑠璃色の絽、麻を染めて色無地紋付きにしたもの。露草色、藤色、薄はなだ、白緑や、紺系統の色めなら微妙な 色が揃っています。
盛夏は、きものを濃い色めにし、帯を淡い色にすると涼しく見えるものです。ねず藍、柳茶などもよいでしょう。
紋紗は露芝、流水などの地紋が透けてみえるので、涼感があります。
帯は、絽のきものには絽綴れ、羅、麻や紋紗の場合には紗献上、荒紗、紬紗などの他、麻や塩瀬絽の染め帯に朝顔、萩、青楓などの柄であれば、いっそうの季節感が出ます。
付け下げ
麻の色無地に水の流れなどを軽く刺繍したものなどが朝茶に向きます。あまり改まったものは不向きになるので、 竹垣に咲く朝顔の花の付け下げに波模様の絽綴れの帯などがよいでしょう。
秋草を染めたものもいいでしょう。無地系の絽綴れや、色入りの羅の帯を合わせてあっさりと装います。
・濃紺地に遠州椿を織り出した紋紗の色無地×生成りのざっくりした袋名古屋帯
・落ち着いたブルーの一つ紋付き×白地に淡いブルーで柄を織り出した紗の名古屋帯

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残暑をすぎて、秋の気配が感じられる9月には、中秋の名月に寄せて月見の茶会が行われます。
9月もなかばをすぎると単衣になります。長襦袢、半衿、帯揚げなどは絽目のないものを用います。(9月いっぱいは絽を使用する、という話もあります)
色無地
あまり深くない、中間色や淡い色が美しく見えます。桜色、黄緑、杏色、芥子色、白茶、香色などがあります。
流水や草花などの地紋のある綸子地の光沢が月の下では映えます。染めか縫いの一つ紋をつけて。
帯は、秋草を織り出したり、虫かごを刺繍した袋帯や名古屋帯を用います。
付け下げ
秋の七草の柄がふさわしいでしょう。萩、桔梗、尾花、撫子、女郎花、藤袴、葛。
花柄の付け下げには、箔使いの帯が似合います。金襴やプラチナ箔などの豪華なものは避け、九寸名古屋帯やしゃれ袋帯の中から 色箔などを選びます。
あっさりした霞を金糸で織り出した綴れの帯も向いています。
きものがあっさりした柄の場合には、秋草を織り出した袋帯を合わせましょう。
あまり派手すぎるものは避け、優しくはかなげな風情のものが向いています。
小紋
秋の野を染めた友禅小紋や、春秋の花柄の小紋には九寸名古屋帯を合わせましょう。
染め帯の雁の柄は初雁、鮎は落鮎を思わせて、季節にぴったりです。
雁文の小紋には、ほととぎす草、稲穂などの染め帯が落ち着いていて良いでしょう。

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10月を名残り月と呼びます。去年の口切りから使ってきた、茶壷の茶が残りすくなくなってきて、底をついてしまうことへの名残りを惜しむ心と、この月を限りに慣れ親しんだ風炉への 惜別の、2つの意味があるからです。
ゆく秋を惜しむ心もあるので、しんみりと侘びた趣きの漂う催しとなります。わびさびの心から、道具も破れのある風炉、茶碗も大破れをついだものなどを使います。そうした情緒を楽しむため、 装いもきらびやかなものや新調したものは避けましょう。箔使いの帯やきもの、派手は付け下げや訪問着は向きません。
色無地
縫いの一つ紋がついたもの。秋を思わせるこっくりとした茶、緑、紫系統などのものがよく、綸子などの地紋のある生地よりも縮緬のしっとりしたものが良いでしょう。
茶事の相客や大寄せの場合には、無地に見えるようなごく細かな縞ものも用いることができます。
帯には、名残りの気持ちで秋草を織り出した名古屋帯、松虫や鈴虫を取り合わせた刺繍の帯、虫食いの葉の跡が残る辻が花などがふさわしいでしょう。
付け下げ
派手やかな訪問着系のものより、おくみ中心に柄を置いた付け下げが向いています。
秋草、小菊、鹿などの柄や、縮緬にろうけつの手描き、墨絵風に描いたものなどが侘びていて良いでしょう。
無地縮緬に秋草をあっさりと刺繍したものや、辻が花の付け下げも風情があります。
しょうはやすくいの織り帯を合わせると良いでしょう。
小紋
大寄せの場合には、更紗のようにこっくりとした柄もの、ろうけつの雅味、帯は九寸の染めや織りのものが合います。
・明るい紫の萩の葉地紋の色無地×名物裂写しの袋帯
・ベージュ地に秋草を刺繍した付け下げ×慶長丸文を織り出した名古屋帯

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口切りは茶の湯の重要な節目で、茶の湯の正月ともいわれ、11月に行います。茶室の畳、障子なども新しくし、露地の竹垣、枝折戸、筧などもすべて新しい 青竹にします。
特に内口切りは、茶壷ひとつに対して一度きりしか行われず、客も5人以下の場合が多いので、年に一度の客に選ばれることは光栄なことです。
茶事の形式としては、茶会の基本である正午となり、席入りの後、すぐに壷の口切りの儀式を行います。雑煮、八寸などの献立は正月と同じになります。 懐石のなかば頃から、いま口を切ったばかりの茶壷から出した茶葉を、茶臼で挽く音が水屋から聞こえてきます。口切りならではの風情で、おごそかな緊張感の中にも、 挽きたてのお茶をいただくのは格別なものです。重要な茶事ですから、昔は正客とも裃、現在でも男性は白襟紋服に十徳という茶人の第一公式の礼装をします。
色無地
正式な装いとしては、色無地紋付きとなります。
染め抜き5つ紋が正式ですが、正客や亭主でなければ3つ紋でもよいでしょう。派手な色めは避け、深い上品な色あいで、季節にふさわしいものを選びましょう。
香色、檜皮色、朽葉色などの茶系統、滅紫、古代紫などの紫系統、苔色、菊塵などの緑系統など。
古代紫、鳩羽色、鉄紺、常盤色がよいでしょう。若い方でも、春を思わせる若草色や桜色、水色は避け、えんじ、淡紅、錆朱、葡萄色など。
発色がいいのは無地の縮緬です。どっしりとした重みのある縮緬地がよいでしょう。
紋生地の場合、立木や流水などの柄は軽すぎます。古典調の格のある柄や、こまかな梨地のようなものを選ぶとよいでしょう。
色無地五つ紋や3つ紋には、礼装用の帯を合わせます。糸錦や唐織で、亀甲に松喰鶴、菊や松の織り出し、おしどり文を織り出した本國寺金襴の帯など。
色留袖
抽象柄のものよりも古典模様の方が格がり、季節感が出ます。
菊などの季節の花つめの扇面に華文の帯、時期の草花を染めた源氏取りに雪輪青海波を織り出した唐帯など。
箔散らしや菊、松などをあしらった道長取りに百寿文様の綴れの帯など。
訪問着・付け下げ
相客の場合には、控えめな立場から訪問着や付け下げを着用します。
大輪の菊、乱菊が11月にふさわしい柄です。有栖川鹿文様の袋帯などが似合います。
もみじに鳥などの加賀友禅の訪問着に、綴れの源氏香文を織り出した帯など、風情があります。
季節のはっきりしないきものには、帯で季節感か格調を出すようにしましょう。
菊と扇面、菊桐、菊唐草、菊立涌などの帯が良いでしょう。
江戸小紋
色いりのしゃれたものや、大柄なものはくだけるので避けましょう。
鮫、霰、万筋、角通しなどに格調があります。色めも暖かい色めを選びましょう。
あまり豪華な帯よりも有職文様の中から選ぶと気品があります。菊立涌、菊枝文など。
春秋の桜と楓を織り出した袋帯、鶴文様、宝尽くしなどの九寸名古屋帯屋袋帯で季節感を表現できます。
大寄せの場合でも、口切りの場合にはくだけた小紋は用いません。
・文綸子の淡い杏色に同系色の柄を染めた訪問着×もみじとおしどりを織り出した袋帯

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12月から2月いっぱいとされていて、冬の夜長を灯火のもとに語り合うという意味もあり、巧者の好む催しとされています。
日没の4時頃に露地入りし、暖かい待合で甘酒などの接待があります。初入りのあと、前茶といわれるお薄が出るのが特徴で、初炭、懐石、 菓子、中立、後入り、薄茶、続き薄茶、止め炭があります。3時間程度で終わらせ、暖かいもてなしを心がけるものです。
亭主と正客が手燭の交換をする作法があり、蝋燭のゆらぐ灯りに風情が感じられる茶事です。もっとも侘びた茶事とされているので、 道具などもきらびやかなものは用いません。灯火を楽しむ茶事なので、その光りを反射するようなものは避け、きものも光沢のある綸子や 箔使いの帯はふさわしくないでしょう。
色無地
あまり白っぽいものは避け、中間色の暖かい色めを選びましょう。色無地紋付きは、一つ紋かそれも縫い紋にして、それ以上の改まった装いはしません。
紋なしで、無地っぽくみえるものやぼかしのものなども良いでしょう。
相客の場合には、全体に目立たない無地系のものを用います。
暖かそうな紫や、茶系統、明るいたまご色なども良いでしょう。
豪華な帯は似合わないので、九寸名古屋の織り帯か、染め帯、八寸でもかまいません。
染めならば、12月なら水仙、柚子、1月ならば福寿草、南天、2月には猫柳、ぼけ、フキノトウなどが季節感が出ます。
付け下げ
おくみを中心に柄があまり目立たずについているようなものを選びましょう。
吹き寄せや松葉など、軽く刺繍のしてあるものが風情があります。
格式のある帯は向かないので、九寸名古屋帯の中から派手すぎないものを選んで。
小紋
こっくりとした更紗なら、暖かさを感じさせます。
花柄の場合には、時はずれにならないように注意します。
きものを花柄にするばら、間道の帯が似合います。名物裂れ写しが良いですが、あまり太い縞や金糸使いのものは避けます。
薩摩間道や鶴岡間道、雨竜間道など。
・紺地に正倉院の草花柄を刺繍した付け下げ×渋い茶の袋帯
・芥子色地に紅葉、梅、松葉の吹き寄せ柄を刺繍した付け下げ×唐花風の柄を織り出した袋帯
・紺地に小さな赤茶色の草花の更紗小紋×幾何学模様を織り出した茶色の名古屋帯

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新春を祝って正月に初めてかける釜を、初釜・点初(たてぞめ)と呼びます。
新しい年を迎えて、清々しい気持ちのうちに釜がかけられますが、宗家へのご挨拶、お稽古の先生に対して年賀の意味で 行われたりするほかに、大寄せの茶会もあります。
柳結びや床飾りも特別に行われ、厳粛な中にも華やぎがある茶事です。初釜に招かれた場合には、色留袖、色無地紋付がよく、 若い方なら振袖や訪問着がよいでしょう。
色留袖
華やかな桜色などの地に小紋詰めの熨斗柄などは、お正月らしい雰囲気がただよいます。
松や菊を織り出した能装束写しの唐帯を合わせると季節感がでて良いでしょう。
四季の草花を詰めた地紙に霞などの柄に、蜀江文の帯など。地紙は扇面とともに、おめでたい吉祥文様です。 蜀江文は中国からわたってきた文様で、八角と四角のつなぎ柄の中にさまざまな模様が織り出されている格調の高いものです。
落ち着いた焦茶や常盤色に手描きの松で、お正月らしさを表すことも。
帯はかえって季節感のない正倉院文様などの中から選ぶとよいでしょう。
色無地
新春ですから、地紋のある綸子地で、渋い桜色系統や若草色系統が華やかです。
亀甲に松喰鶴などの帯で、お正月らしさを出しましょう。
水色、藤色に向い鶴菱の帯など。
その年の勅題や、干支にちなむ柄の帯もよいでしょう。百人一首の絵カルタ、手毬や独楽も お正月らしい柄です。
振袖・訪問着・付け下げ
抽象柄は避け、格調のある古典柄を選びます。朱地に松文と唸り梅などの模様の振袖に華文の帯など。
松竹梅を取り合わせた吉祥文様か、それらのうちのひとつを用いると、お正月ならではとなります。
季節に関係のない柄、花立涌、雲立涌などの帯が似合います。
あっさりした柄や銀などの一色ものでは装いが軽くなってしまいます。重厚なものを選びましょう。
白っぽい茶の地に笹の葉、菊などを刺繍した訪問着×雅楽の笛や太鼓を織り出した袋帯
江戸小紋の裾濃ぼかしでオレンジ系の鮫小紋×百人一首のかるたを織り出した袋帯

[季節なしの装い] [男性の装い]


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