

茶室のしつらえは、一年中同じものではなく、炉・風炉によっても大きく異なりますし、その季節に合ったものが求められます。
茶会を催す側の亭主が一番心をくだくのが、季節や茶会にふさわしいテーマ(茶趣)です。客としても、亭主側が用意してくれた心づくしの
様々なしつらえから茶趣を感じ取り、茶席を楽しみたいものですね。
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[1月] [2月] [3月] [4月]

◆初風炉
5月の初め、炉を閉じて風炉に改まった当座を呼ぶ。10月まで風炉の季節となる。
◆端午の節句
5月5日。五節句のひとつ。鯉のぼりや吹流しを空に泳がせ、座敷には武者人形や具足を飾る。庇には災難よけの菖蒲や蓬をかけて邪気を払う。
浴槽に菖蒲を浮かせる菖蒲湯もこの日に行う。菖蒲は尚武に通ずるとして、流鏑馬なども行われる。粽・柏餅。
◆鵜飼開き
5月11日。長良川の鵜飼は全国的に有名。鵜飼開きの前には協賛茶会が催される。
◆葵祭
5月15日。京都、上賀茂神社、下鴨神社両社の祭礼。祭りの当日に冠や牛車を葵蔓で飾ったことに由来するらしい。
◆その他の行事
神事釜 夏切茶 伊勢神宮献茶式 狐蓬庵遠州忌 母の日 珠光忌 宗湛忌 業平忌 薪能 御茶壷道中
「薫風自南来・殿閣生微涼」
(くんぷうおのずからみなみよりきたりて・でんかくにびりょうをしょうず)
さわやかな初夏の風が南より吹ききたり、宮殿に微かな涼しさが生まれる。 全く作為を起こさないところにこそ悟りの現出があり、無心のうちに無量の利益をあまねく及ぼす。
この清涼を精神的な清涼にまで深めてこそ、真の「清」の茶というものであろう。
5月は、青葉・若葉の季節。薫風といわれるように、自然のあらゆるものが成長していく美しさを見せています。
月の初め頃には、暦の上での夏を迎えます。茶室では炉を閉じ、風炉に替える季節です。
茶室の欠き畳(炉のはまる部分を切り取った畳)をしまい、丸畳(一畳の畳)を敷くと、青々とした丸畳がすがすがしく映ります。
白檀の香りに清めた席中。床の掛物には、さわやかな季節を感じさせるものを選びます。花入れも涼しげな籠など。庭には打ち水をたっぷりとし、
木々の若葉が窓や障子越しに見えるようにします。
初風炉は、5月ならではのすがすがしさを表現するのがよいでしょう。
端午の節句にちなんで、菖蒲や兜を道具類に取り合わせるのも面白いもの。中旬を過ぎると京都の葵祭をはじめ、全国で夏祭りが開催され、各地で神事釜が
かけられることになります。祭りにちなんだ趣向を考えるのも楽しいものです。

 
◆近江神宮献茶
6月9日。天智天皇の御代、天智10年の6月10日、宮中に水時計を置いて時刻を知らせた。これが現在の時の記念日とされる由来である。
前日の9日に裏千家家元が近江神宮に奉祀されている天智天皇に献茶を奉じるが、このときの茶花には時計草が用いられる。
◆織部忌
6月11日。信長、秀吉に仕えた織部流の祖である古田織部。利休の高弟として茶道の奥義を極めた。織部焼を指導、大成したことでも知られる。
◆その他の行事
栄西忌 光琳忌 剣仲忌 時の記念日 入梅 父の日 長闇堂忌 茅の輪くぐり 夏越祓 蛍狩
「青山緑水風自涼」
(せいざんりょくすいかぜおのずからすずし)
山は青く、水は緑のようにすがすがしい。その上を流れている風は自然と涼しいものとなる。初夏〜夏の、山の自然の風景をあらわしている禅語。
お茶の道も、自然のようにそのままであれという意味を込める。
6月は梅雨。しとしとと降り続く雨に気分が晴れない時もあります。時折の晴れ間も、じっとりと湿気を含んでいてすっきりしません。
じめじめとした雰囲気になりがちなこの季節には、爽快さを感じさせる茶席がよいでしょう。
雨に濡れた庭の木々のすがすがしさ、ひっそりと咲く可憐な花々・・・この時期ならではの美しさを見つけ、茶趣に取り入れていきたいものです。
待合には青田の風景、本席には清らかな水の流れを感じさせる掛物。花は優しい草花を生け、道具類も小ぶりの風炉や釜。口径の大きな水指、菓子器には
ギヤマン(ガラス)を用いるなどして涼味を表現。
露地笠を手に、連客が雁行する雨中の茶事は6月ならでは。草木や作物を育てる慈雨と考えるように、雨もまた楽しいと思えてきます。
旧暦の6月晦日には、夏越の祓えという大祓いの神事があります。茅の和を潜って祓を行う風習や海水に浸って身を拭う風習などがあります。

 
◆七夕祭り
7月7日。五節句のひとつ。天の川の両岸に別れている織姫と牽牛の年に一度の逢瀬となる7月7日の夜、星を祭る年中行事。中国伝来の乞巧奠の風習と、日本の「たなばたつめ」の信仰が
ひとつになったものといわれている。乞巧奠(きっこうでん)とは、女性の技芸の上達を祈る祭事。庭に竹を立て、詩や詩を書いた色紙、短冊をつけ、書道や裁縫の上達を祈る。
◆祇園会
京都・八坂神社の祭礼で、日本三大祭のひとつ。山鉾は平安時代に疫病退散のため長い鉾を立てて行列したことが始まりといわれ、氏子の家では神事釜をかける。
13日の稚児社参りには、境内の中村楼が稚児餅を供え、奇数の年には表千家、偶数の年には裏千家が献茶を行う。
◆朝顔市
7月6〜8日。鬼子母神で知られる東京・台東区入谷の真言寺界隈に鉢植えの朝顔の市がたつ。江戸時代からの風習。
◆鬼灯市
7月9、10日。浅草・浅草寺境内で行われる。7月10日の観音の結縁日にお参りすると、46000日分お参りするのと同じ功徳があるとされ、青鬼灯を厄除けとして
売る市がたつ。鎌倉時代からの風習。
◆土用
立秋の前の18日間を夏の土用といい、その最初の日を土用の入りの日という。この日についた餅を食べると力が出るといわれる。
◆その他の行事
精中圓能無限忌 川開き 海開き 神事釜 曝涼
「涼風颯々」 (りょうふうさつさつ) 涼しい風がそよそよと吹くさま。さわやかで、すがすがしい気持ちをいいあらわしたもの。折柄の涼風にほっとひと息をつく。また涼やかな風の中を歩む心地よさ。自然の妙である。
太陽の光がまぶしく、いよいよ本格的な夏の到来です。 暑さとともに湿度の高さが気になるのも、日本の夏の特徴です。
しかし、その中でも、涼しさを演出し、暑さを克服したいものです。夏の茶室を涼やかにすることは、冬の茶室を暖かくすることより難しいことです。
このため、朝茶という、最も涼しい早朝を選んでお茶を楽しむ茶事が工夫されました。
夏のもてなしは、すべて涼しさを基本に考えます。外の暑さをすっかり忘れさせてしまうような道具類でもてなしをしたいものです。
床の間は涼しさを誘う掛物や釣船の花入れでさっぱりとした空間を。釜も小ぶりのものを選び、切り合せ風炉で客を少しでも火から遠ざける工夫も必要です。
たっぷりと打ち水をし、露地の熱を消し去り、訪れる客にほっとした涼を感じさせましょう。
七夕をお茶に取り入れるのも楽しい趣向です。

 
◆八朔
旧暦の8月1日に、稲の初穂を宮中へ献上する田実(たのむ)の節という行事があった。また天正18年8月1日に徳川家康が
初めて江戸城に入り、大名や家臣が白帷子で祝詞を述べた。この2つから、8月1日は暑中見舞いの祝儀の日とされている。
◆ねぶた
8月2〜7日。青森で行われる祭り。竹や木に紙を貼って武者人形や悪鬼を作り、中に灯をともして屋台や車にのせて練り歩く。
秋田の竿灯、仙台の七夕と並ぶ、東北の3大祭りのひとつ。
◆盂蘭盆会
先祖を祀る仏事で、旧暦の7月15日に行われてきたが、現在では8月15日に行う地方が多い。10日の魂迎えに始まり、16日の夜には
送り火を焚いて灯篭流しなども行われる。小阿弥陀堂、荷葉釜などで釜をかけることも。
◆大文字
8月16日の夜、京都・如意ヶ岳の西の中腹で行われる大文字の火。盆の送り火で、この日納涼を兼ねて釜がかかることもある。
大の字、舟、鳥居などの茶碗で楽しむ。
◆定家忌
8月20日。藤原定家の忌日。定家は俊成の子で歌人、歌学者として「新古今和歌集」を選した。その書風は小堀遠州や松平不昧に愛好されたという。
◆地蔵盆
8月23〜24日。町内の地蔵菩薩を祀る盆会。赤い提灯をつるし、祭壇が設けられ百万遍の数珠廻しをする。
◆その他の行事
五山送り火 万灯流し
「清滝」
(きよたき) 字のごとく、清くすがすがしく
流れ滝の様で、京都の地名にかけ、紅葉の名所であり、夏にも秋にも掛けられる。
8月の上旬には、暦の上では秋とされていますが、現実には暑さが厳くしのぎにくい毎日が続きます。
暑さの中にすがすがしさを求め、うだるような空気をはねのけるには、やはり早朝に行う朝茶がいちばん。まだ明けきらない
早朝の5時から始め、暑さが増してくる前に終わるようにします。
たっぷりと打ち水をした露地の緑、飛び石にもひんやりとした涼感があふれます。広間の席には、月初めには7月と同様に涼を
誘う道具でもいいのですが、立秋を過ぎたあたりからは初秋のものを取り合わせるのが好ましいものです。 掛物は
上旬は滝や水に関連するもの、立秋以降は秋の気配を詠んだものを。釜や風炉は小ぶりなもの。水指は平水指にし、ギヤマンのものも。
茶碗は平茶碗が喜ばれます。
8月は、関西を中心に旧暦で盂蘭盆会が行われる時期です。先祖を祀り、墓参りをして精霊を迎えます。16日の夜には、精霊送りの
火が焚かれ、この頃になると夏もそろそろ終わりとなります。

 
◆月見
旧暦8月15日。中秋の名月。月を愛で味わう風習は平安時代に中国から伝わったとされる。団子や果物、秋の七草などを供える。
◆その他の行事
無限斎碩叟宗室居士祥月忌 清香妙嘉大姉祥月忌 重陽 観月 野分
一日過ぎるたびに過ごしやすくなり、厳しい残暑ともお別れです。初秋の美しい景色を楽しむための茶席が設けられます。
9月9日の重陽の節句には、菊の茶会が催されます。菊の花の季節としては少し早いのですが、本物の菊がなくても茶道具の取り合わせによって
雰囲気を作り出します。 月の美しいのも秋ならでは。月見の茶事は、月の出を愛で、味わう茶事です。秋の七草や虫の音など、秋を表現する道具類も様々なものがあり事欠きません。

 
◆江月忌
10月1日。大徳寺の第156世である江月宗玩の忌日。
◆宇治の茶祭
10月1日。茶種を日本に伝えた栄西禅師を記念し、京都宇治茶業組合の主催で行われるもの。法要の後、宇治橋三の間の水を汲み、茶壷の口を切って
供茶式があり、裏・表両家家元が毎年交代で奉仕する。
◆靖国神社献茶
10月4日。東京・九段の靖国神社で、裏千家家元奉仕の献茶式が行われる。
◆太秦の牛祭
京都・太秦の広隆寺で10月12日に行われる神事。寺中の行者が仮面を被って牛に乗り、上宮王院の前で国家安泰、五穀豊穣、悪疫退散の祭文を読む。
◆当麻寺の茶筅供養
10月10日。奈良・当麻寺中之坊で行われる茶会。各流の茶人が古い茶筅を持ち寄って供養をする。
◆芭蕉忌
10月12日。俳聖松尾芭蕉の忌日。伊賀上野に生まれ俳諧を志し、後年江戸・深川の芭蕉庵に移った。各地を旅して多くの句や紀行文を「奥の細道」や「野ざらし紀行」などに残し、
俳諧に高い文学性を与えた。
◆達磨忌
10月5日。禅家で達磨大師の忌日に行う法会。
◆その他の行事
時代祭 後の月 風炉の名残り
10月は、名残りの月。半年間楽しんできた風炉への名残りであると同時に、残り少なくなった茶壷のお茶を、あと何度使えるだろうかと名残り惜しむ気持ちを表現しています。
道具の取り合わせにももののあわれを感じさせるような、侘びの風情を味わう茶席にしたいものです。
掛物、茶碗、茶杓などどれも、侘びた趣きのものが好ましいとされます。ただ、侘びたものばかりにすると、一つ間違えばみすぼらしく汚い感じになりかねませんので注意が必要です。
風炉は道具畳の中心に据える中置とし、大ぶりの前欠き風炉かあるいは破れ風炉を客に近づけ、細水差の水は客から遠ざけられます。日増しに冷気が加わる茶室の中では、風炉中の火の暖かさがもてなしとなります。
床の花は、通常ではその季節の盛りのものか、あるいは少し早めのものを用いますが、名残りの茶に限っては、時節遅れの残花やかえり咲きを好んで用います。

 
◆光悦会
11月11〜13日。京都・鷹ヶ峰の光悦寺で行われる光悦会の例会。本阿弥光悦は刀剣の鑑定をよくし、書に優れ、楽焼にも秀でていた。
光悦会は、光悦の茶徳を慕う人々によって組織されており、東京・京都・金沢などの古美術商が集まって濃茶席・薄茶席がある。全国の名器がずらりと揃うので、多くの茶人が集まる。
◆宗旦忌
千利休の侘び茶を完成させた利休の孫、元伯宗旦の修忌。11月19日、裏千家・今日庵で行われる。この日、宇治の上林茶園の主人が裃姿で茶壷を唐櫃に納め、裏千家に届けるという伝統がある。
宗旦は少庵の息子で利休自刃のときには春屋国師のもとで修行中であった。父・少庵が蒲生氏郷のもとから京都に戻ってから、宗旦も茶道に精進し、後に不審庵、今日庵、官休庵を子らへ譲り、
現在の三千家の基礎を築いた。侘び茶の祖としても慕われている。
◆その他の行事
開炉 口切 お火焚 七五三詣り 紅葉狩り 亥の子
月の初めに立秋となり、暦の上では冬となります。そして、この先半年間が炉の時期となり、炉開きは茶室の衣更えにあたります。
炉開きは、立秋に合わせて行うのが普通ですが、1日や3日の文化の日に行うところもあります。開炉によって心も新たにお茶に向かうことは重要であり、大きな喜びでもあります。
非常に重要な行事としてもうひとつ、口切りがあります。葉茶壷の口の封印を切って、その年の新茶を振舞う茶事です。
茶人は毎年、新茶の採れる前に宇治まどの茶師に葉茶壷を預けておきます。茶師は、摘んだ新茶を葉茶にし、濃茶を75gずつ小袋につめ、茶壷の中心に納めます。
その周りに薄茶の葉茶をぎっしりと詰め、その上に入日記(茶名と数量を明記した目録)を添えて壷の蓋を閉じて封印します。そしてこの茶壷は11月まで大切に保管されます。
炉開きの時期に封印を切り、新茶で茶事を行います。このことから、お茶の世界では口切りの時期こそが新年と考えられ、「茶人正月」などともいわれます。
口切りの茶事の道具類には正月にちなんだものが用いられることがあるのもそのためです。

 
◆北野天満宮大献茶祭
太閤秀吉の北野大茶湯を偲び、12月1日に京都・北野天満宮で行われる献茶式。三千家、薮内、久田、堀内などの家元が交代で献茶を行う。
◆義士祭
12月14日。四十七士の討ち入りの日にちなみ、東京・泉岳寺には香煙がたちのぼり、行列が街を練り歩く赤穂浪士を追悼する祭り。
◆羽子板市
東京浅草の浅草寺境内では、12月17〜19日に羽子板を売る市が立ち、縁起ものを求める大勢の人でにぎわう。
◆その他の行事
仏名会 成道会 顔見世 大祓え 事始め 除夜釜
日ごとに寒さが増して厳しくなります。茶人にとっては忙しい中にも楽しみの多い季節です。 13日は事始め。暮れから新春にかけての祝儀ごとの準備にかかる日です。
主家や師匠に歳暮や祝儀をして、一年の恩に感謝を表します。京都・祇園では事始めのしきたりが守られており、茶家でも贈られた鏡餅を床の間に飾って一服を楽しみます。
昔は、この日から正月の準備が始められていました。
20日ころからは歳暮の釜。15日を過ぎると歳末の餅つきによせて、餅つき釜が行われます。臼や杵にちなんだ道具組みで、餅つきのにぎわいを演出する楽しい茶席です。
大掃除も終わり、正月の準備もすっかり整った大晦日、除夜釜を迎えるのみです。茶家では揃って除夜の鐘の音に耳を傾けつつ、来る年への思いを新たにします。
干支や勅題の道具も使い納めにします。除夜の鐘がやむと、炉中の残り火に灰を被せて埋火とし、助炭をかけます。この炭がもう間もなく訪れようとしている元旦の下火となります。

 
◆王服茶筅
1月1日〜3日。村上天皇の病が本尊観世音の霊夢により、茶を服すことで平癒したとの故事から京都・六波羅密寺で供え茶式が行われる。
これが後に大福となり、正月に大福茶を楽しむようになったといわれている。
◆大福茶
元旦に茶家で家元自らが茶を内々に振る舞い、新春を祝う。蓬莱山に飾られた昆布、小梅などを取り分けて薄茶をいただく、一年の始まりの行事。
◆初釜
新年最初の稽古。茶道の家元でも教授宅でも行われる。一般には社中の人々が集まって新年を祝う茶事を行う。
1月10日前後が多い。
◆義政忌
1月7日。室町幕府8代将軍・足利義政の忌日。村田珠光に茶道を習い、名器を蒐集。初代尊氏以来、将軍家に集積された唐物名器の中から名品を選び、
そこから東山文化が生まれた。京都・東山の慈照寺(銀閣寺)に建てた東求堂の一部である四畳半が、茶室の始まりと言われている。
◆仙叟忌
1月23日。裏千家四世仙叟の忌日。仙叟は宗旦の唱えた侘び茶を大成、金沢油木山月心寺で仙叟忌が営まれる。
◆十日戎
前夜が宵戎、11日が残り福、各地の戎社で祭礼があり、茶家ではこれに寄せて釜をかける。
◆甲子釜
この月の甲子を初甲子とし、これに寄せて釜をかける。めでたい趣向の取り合わせにする。
◆その他の行事
初詣 鏡開き 成人式 松の内
「一富士二鷹三茄子」 (いちふじにたかさんなすび)
一富士、二鷹、三茄子は、初夢に見ると運気が開けるといわれています。
すがすがしい気持ちで迎えるお正月。茶家の一年は、新年を寿ぐ大福茶で始まります。これをいただくと無病息災が約束させる、といわれています。
まず、元旦の寅の刻(午前4時頃)に若水を汲んで用意しておき、除夜釜の埋火をかきたてて炭を足します。そして若水を釜に満たし、家族揃って
大福茶をいただくのです。
茶家の三が日は、年始の客を迎えてにぎわいます。客のために設けられた席には、吉祥の語句や干支にちなんだ新春にふさわしい掛物がかかり、訪れた人も新しい年を祝う気持ちに
包まれます。 三が日が過ぎると、稽古始めともいうべき初釜が催されます。稽古始めとはいえ、普段に比べれば新年を祝う趣向が強いもの。一般にも
初釜は1月の中旬までに行いますが、お正月らしいめでたい道具の取り合わせで楽しみます。
めでたい文字や絵の掛物、すがすがしい青竹、あるいは青磁鳳凰耳や染付松竹梅の花入れ。ぶりぶり香合。正月らしい銘のある濃茶器、曙棗や日の丸棗。
島台や御本立鶴、雲鶴の茶碗など。そのほかの道具もめでたいことのきざしとなるようなものが好まれます。

 
◆節分釜
節分は立春の前日。冬から春に移る節の分かれ目。神社や寺院では追儺の式が行われ、茶家では釜がかけられる。
追儺は本来、大晦日の夜に悪鬼を祓い、疫病を除く宮中の行事だった。一般には、柊の枝に鰯の頭を刺したものを戸口に立て、
鬼打豆をまく風習がある。
◆光悦忌
2月3日。本阿弥光悦は刀剣の鑑定、書道、陶芸、蒔絵意匠、作画、茶道に優れた人物で、晩年は京都・洛着北鷹ヶ峰にて80歳で没した。
書では寛永の三筆といわれ、楽焼にも独特の作風を残している。
◆西行忌
2月26日。平安末から鎌倉初期の歌僧として名高い西行の忌日。新古今和歌集には94首が採録され、山家集を残した。
◆初午
2月初の午の日。京都・伏見稲荷神社の神が降りたのがこの日とされ、全国の稲荷神社で初午の祭礼が行われる。茶家でも初午に釜をかけ、その趣向で取り合わせることもある。
◆梅花祭
2月25日。京都・北野天満宮で菅原道真公の忌日であるこの日に行われる。神せんに梅の枝を添えるので「梅花の御供」とも呼ばれ、境内の梅林では十七軒町の芸妓が野点を催す。
◆その他の行事
旧正月 大炉 節分 立春 壬生狂言 遠州忌 祈念祭
「春来草自生」 (はるきたりて くさおのずから しょうず)
春が来れば、自然に草が生える。万法は、皆自ずから然るようにあるという意味。
2月の上旬には立春を向かえ暦の上では春ですが、実際に冷え込みの一番厳しい季節です。
夜咄の茶事や暁の茶事は、12月から3月までの炉の季節に行われますが、寒さの厳しいこの時期に催すことがぬるきを嫌うお茶の精神にかなっているといえます。
きりりと冷えた空気の中、手焙りの火が赤々と燃え、つくばいに置かれた湯桶から立ちのぼる湯気が心まで温めてくれます。
冬暖かく、という言葉のとおり、実際の温かさはもちろんのこと、見た目にも暖かい道具に配慮しなければなりません。
炉にかかる釜は大面取釜などの大口で深さのあるものを。蓋を取ったときに立ち上る湯気が目にも暖かく感じます。
茶碗は深めの筒茶碗などにすると、手のひらを暖め、お茶が冷めにくいため喜ばれます。
また、節分を趣向に取り入れたお茶会も楽しいものです。

 
◆雛祭り
3月3日。桃の節句。3月最初の巳の日に形代を作り、自分の体をなでてから水に流して汚れを祓ったといわれ、それが後に
貴族が楽しむ「曲水の宴」となり、形代は雛人形に変わった。江戸時代になってから、女児を持つ家で雛祭りを祝うのが習慣となった。
◆生田神社献茶
3月15日前後。神戸・生田神社は稚日女尊を祀る神社で、三千家が交代で献茶を行う。
◆彼岸会
春の彼岸は春分の日をはさんで前後7日間で、先祖の霊を祀る。宮中では平安時代から行われていたが、江戸時代には一般に普及し年中行事となった。
春の彼岸には牡丹の花にみたてたぼた餅を仏に供え、近隣にも配るのが習い。
◆利休忌
3月27、28日。茶聖・千利休の忌日であり、茶家にとって最大の行事。裏千家今日庵では28日に、利休居士を偲ぶ行事を行う。
堺の納屋衆の息子として生まれた利休は、武野紹鴎の門下となり、禅の精神や自然主義の心情を軸として、それまでの茶を大成、侘び茶を完成させた。
禅を古渓和尚に学んで利休と命名された。織田信長、豊臣秀吉に仕えたが、秀吉から切腹を命ぜられ自宅で自刃。京都・大徳寺聚光院に葬られた。
利休の侘び茶は三千家を始め諸流派に受け継がれている。
◆その他の行事
大石忌 お水取り 涅槃会 お水送り 野点 比良八講 釣釜
寒さが戻ったり、忘れ雪が舞うことがあっても、少しずつ暖かさが増してきている季節。
木や草の花が咲き始めるこの月は、釜もしばしば釣り釜となります。天井の蛭釘から広間では鎖と、小間では竹の自在を下げて、
そこに小ぶりの釜をかけます。
3月3日は桃の節句。一般の家庭でも暇人形を飾り、雛祭りを祝いますが、お茶でも雛祭りに寄せて茶事を行うことがあります。
待合には雛の絵を飾り、本席の床には、雛にちなんだ和歌や俳句の掛物。色紙地紋のある松花堂好みの釜に和楽器の蒔絵の炉縁、貝合わせの香合に茶碗も雛の絵のあるものを。
ほのぼのとした、華やかな茶事となります。
月末近くには、宗家にて利休忌が営まれます。茶道にかかわる人それぞれが、利休居士の生涯に思いをはせ、その遺徳を偲びながらお茶をいただきます。

 
◆潅仏会
4月8日。釈尊の降誕を祝して行う仏事。花御堂(花で飾られた小堂)を作り、水盤に釈尊の像を安置し、参詣者は釈尊像に甘茶をかける。
降誕会。花祭り。
◆西大寺大茶盛
奈良・西大寺で4月第2日曜日とその前日に開催される。鎌倉時代の同寺の叡尊が法会の後に八幡宮で献茶をし、その余服を人々にふるまったのが
始まり。現在では直径30〜50センチの大きな茶碗でお茶をいただくことになっている。
◆日吉神社献茶
4月13日。伝教大師が唐から茶の種を持ち帰り、これを栽培したことにちなみ、宵宮に献茶式が行われる。
◆御忌
4月19〜7日間。京都・知恩院で浄土宗の開祖・法然上人の忌日法要が行われる。4月25日には三千家の家元が毎年交代で献茶を行う。
◆その他の行事
水無瀬神宮献茶式 透木釜 建仁寺四頭茶会 東京大師会 不昧忌 吉野忌 城南宮曲水の宴
桜をはじめ様々な花の頼りが各地から届き、心弾む季節です。まさに春爛漫といった雰囲気。
お茶では、炉との別れが迫ってきています。半年間親しんできた炉もこの月限り。この季節には道具にも春の華やかさを
表現するのがふさわしいのですが、下旬には炉との別れを惜しむ趣向のあるものが望ましいとされています。
4月の掛物は桜や花を詠んだ詩歌、俳句などで、普段よりも華やかな表現が好まれます。花入れは竹、朝鮮唐津、信楽など。
香合は花喰い鳥、桜川、田楽箱など。そして炉縁には花筏蒔絵。茶碗には乾山、仁清、仁阿弥堂八などの花の絵のものが喜ばれます。
あまりにも桜一辺倒で揃えてしまうとくどくなります。この季節の情緒が活きるように、それぞれ工夫が必要です。
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