


茶席では、もてなす側の亭主と、もてなしを受ける側の客とに分かれますが、その中にも様々な役割があります。
亭主
茶事には、会を催す主人があり招いた客を接待します。この役目をするのが亭主です。中国の故事では、客は西、主は東に付くことから亭主を東(とう)とも呼びます。
招く立場としては、その茶会の主旨にふさわしい、改まった装いが必要となります。
茶席の中では、常に控えた立場となり、正客に尋ねられたお道具や、その茶会の主旨の説明を行います。
半東
亭主を手助けして、茶会をスムーズに行う役目です。亭主が表なら、半東は接待の裏方となります。飯頭、と書くこともあり、お通い、お給仕、お水屋などの呼び方があります。
亭主よりも控えめに装って亭主を立てるようにします。
席中では、説明をする亭主に代わって、お菓子やお茶の数が足りているかどうか、点て出しのタイミング、菓子器や茶碗をさげるタイミングなどの実質的な指示を出す立場となります。
そのお茶席が滞りなく進むためには大変に重要な役目なので、経験の豊かな人が行うことがほとんどです。
正客
茶会の客のなかで、もっとも上位の席に座る人を正客と呼びます。茶会は、この正客を中心に行われています。
その席に招かれた連客の代表となるため、連客に代わって招かれた礼をのべます。さらに、茶席に飾られている軸や花、
お茶や道具などについて、タイミングよく亭主にたずねます。
正客と亭主の会話の盛り上がりひとつで、その日の茶会が素晴しいものになったり白けてしまったり、ということがあります。
お茶の経験が豊かであるのはもちろん、さまざまな教養と人柄の魅力が加わって、正客が務まるようになるのです。
正客の装いは、亭主と同様に改まった装いが必要です。
お詰め
連客の中で、末席に座る役目をお詰めと呼びます。茶席のしめくくりをし、茶事の進行を促す責任のある役目です。
茶事万端に通じ、経験も豊かな人がつとめます。 正客を立てるため、控えめな装いを心がけます。
相客
正客のお相伴にあずかる次客以下は相客となります。ほどほどのふるまいでお茶を楽しむとよいでしょう。初心者が座る席は、
この次客以下のお詰めに近い席となります。正客を立てるように控えめな装いにするよう注意しましょう。


お茶席には、充分にお茶事に精通した方々だけではなく、私のような初心者や全く初めての方も同席します。
先輩方はさすがにわかっていらっしゃるので、初心者に対して、「ここでは礼を」「ここで扇子を置いて」等の助言をしてくださいます。また、お詰などの役目が回らないように取り仕切ってくれますので
緊張しながらも、大きな失敗をしでかすということは防げます。これからお茶を覚える方や、どうしてもお茶席に伺う用事が出来たという方のために
とりあえずの形式とマナーを書き出してみました。
前礼
お茶事に招かれ、ご案内をいただいた場合は、招待日の前日に招かれた先方ね出向いて、出席する旨のあいさつをします。これは、お茶会の当日に遅刻をしないよう
先方までの所要時間を知るためにも行われていましたが、最近では、出席の返事をする際に前礼を兼ねています。
待合
本席に入る前に、その日の相客が全員揃うまで待つ所を待合と呼びます。客は、待合へ入るときに扇子を出し、一礼をしてから部屋ににじって入ります。※部屋によっては座らずに立って入ることもあります。
先客があれば再度扇子を置いて一礼します。次に、部屋に床があれば正面に進んで掛物を拝見します。待合の中では、たばこ盆の出ている所が正客の位置となります。先に着いた場合でも、自分の立場の席を見極め、しかるべき座に着いて連客が揃うのを待ちます。
迎付
亭主が、待合、または腰掛で待っている客へ出向いて一礼をし、ていねいにお迎えすることを迎付をいいます。客は扇子を持って並んで立ち、ニ、三歩進んで共にあいさつをします。
露地
半東の声で客は一人ずつ「お先に」と次客へ礼をしてから、待合から露地へ出ます。露地では草履に履き替え、飛び石の上を歩きます。清められた露地の風情や趣きなどを拝見します。
つくばい
客はつくばいの前に立ち、ハンカチを帯下にはさみこんで、きものの裾を濡らさないように少し上前を引き上げてかがみます。柄杓の柄を右手に持ち、半杓で左手を清め、次に左手に持ち替えて、残りの半杓で右手を清めます。
再度右手に持ち替えて水を汲み、左手に水を受けて口を清めます。水は飲まずに下へそっと吐き出します。柄杓を両手で持ち、柄を立てて残りの水が柄杓全体にかかるようにしましたら、元の位置に戻します。ハンカチで手を拭いて席入りをします。
席入り
正客から順序よく、適当な間隔でつくばいを使った後、にじり口より茶室へ入ります。このとき、前の人の草履を重ねて、下に置きます。自分の草履も後の人が揃えてくれるのでお礼を言います。
茶室に入ったら、床前へ進み扇子を前に置いて、軸・花・お香合を見ます。次に炉、または風炉を拝見し、後に続く連客の邪魔にならないようにし、適当な位置に一度座ってから、正規の位置まで進みます。全員が席入りしたら、お詰は水屋に聞こえるように音をたてて戸を閉めます。
初炭点前
正客のあいさつが終わると、亭主はすぐに炭を直します。早くから火を入れておいた炉に新しい炭を入れ、釜の湯が最もよい湯相になるよう心を配ります。
また、炉の場合には、部屋を暖めるように気を使います。客は、炭点前の時に、灰の様子、釜の姿などを静かに拝見します。
懐石
茶席で出す料理を懐石と呼ぶのは、修行中の禅僧が、空腹と寒さをしのぐために暖めた石をふところに抱いたところからなずけられたと言われています。したがって、基本は一汁三菜のささやかな食事ですが、必ずしも
ささやかとはいい難い亭主の心づくしの懐石となることがあります。
客は、出された食事をきれいにいただき、器を清めて亭主にお返しすることになっています。好き嫌いの多い場合でも、出してくださった方の好意を素直に受けて、気持ちよくいただきましょう。どうしても無理な時には残肴入れに納めて袂にしまい、持ち帰るようにします。
椀を清める際、懐紙で拭くと傷がつきやすいので、ティッシュか小茶巾で清めます。このときにも、椀の蒔絵がはげることのないように気をつけましょう。そっと押すようにし、決して滑らさないのがコツです。
主菓子
食事の後に出される濃茶のためのお菓子を主菓子と呼びます。銘々皿で一人ずつ出される場合や、大きな鉢などに数多く盛って出される場合とがあります。添えてある黒文字で主菓子を懐紙に取り、箸先を懐紙で清めて元に戻します。
菓子器が拝見に回されることもあるので、その場合には、菓子器を清めて正客に渡し、黒文字は自分の懐紙で包み、半東へ返すようにします。
中立ち
懐石が進みますと、亭主の指示により客は外の腰掛に出て、しばしの休息をします。このとき客はお手洗いを使ったり、たばこ盆を使って一服します。くつろぐ中にも声高に談笑しないよう注意しましょう。
亭主の迎付に代わる銅鑼の音を聞き、後座入りをします。
後座入り
初入りと同じように、つくばいを使って正客から順に茶席へ進みます。部屋は中立ちの間に清められ、席中の趣きはすっかり変わっています。
濃茶
濃茶点前の間は、夏でも茶道口を閉め、部屋では敷物や座布団を使いません。亭主の心のこもった濃茶を出されたら、連客は揃って礼をします。正客より静かに飲みまわしますが、飲んだあとは必ず、小茶巾で飲み口を清めます。
正客は茶銘とお詰めを亭主にたずね、お菓子のお礼と銘を伺います。亭主の片付けが終わったら、正客は仕服、茶入れ、茶杓の拝見を亭主に願います。
拝見
お茶の道具は、亭主のたしなみと心のありようを物語っています。その道具を拝見するときは、道具の由来、その日の趣向にちなんだ取り合わせなどの亭主の心入れも感じることが必要です。仕服、茶入れ、茶杓、薄茶器、茶碗、箱書などは
手元でひとつひとつ手にとって拝見します。拝見のお道具が回ってくる際には、次客に「お先に」のあいさつが必要です。
後炭
濃茶の後、釜の下の火をなおすことを後炭といいます。炭の風情に時の流れを見て取ることができます。
薄茶
後炭の後、薄茶点前に入ります。薄茶をいただく前に干菓子をちょうだいし、甘味の残った口に薄茶が調和します。
送り礼
茶会の終わりに、亭主が客を送るあいさつを送り礼といいます。席中の客にお茶が出て、拝見の道具も回りきると、正客から終わりを願い入れます。点前は道具を持って誘う茶道口に下がり、亭主の終わりのあいさつとなります。一同、扇子を出して一礼します。
亭主が茶道口に下がったときには礼をせず、戸が閉まった後、正客に対して一礼をします。その後、正客から順ににじり口から退出します。
後礼
お茶会の翌日、亭主のもとに伺い礼をのべることですが、最近では手紙や電話の場合が多いようです。
大寄せの茶会
少人数の茶会に比べ、大勢の人数で行われる大寄せの茶会では、初めての方でも気軽に参加できる反面、落ち着いて道具を拝見できなかったり、思うような席に座ることができないということがあります。その場の状況に合った対応が必要になってきますので、先生方、先輩方の案内に従いましょう。一人で行っても、必ず、慣れていらっしゃる方に
説明を受けたり、案内されますので安心です。
大寄せでは、席入りをしても床の拝見も充分にできないことがあります。退室のときに拝見をする事が多くなりますが、他の方の迷惑にならないように長居しないようにしましょう。
点前に先立って菓子が出されます。お茶の進行を妨げないように手早く回すことも大切です。正客と次客、または三客以外は、陰立てのお茶が水屋から運ばれてきます。飲み終わったお茶碗は正面になおして畳のへり外へ置き、一礼をしてから拝見をします。場合によってはへり外に置けないこともありますので、臨機応変に。拝見後にも一礼をし、お茶碗の正面を向こうに返します。
半東が取りにきたら一礼をします。お茶をいただき、拝見をしている間に、主茶碗がまわってくることがあります。席の様子に気を配り、とどこおることなく拝見します。
濃茶では、大きなお茶碗にたっぷりと入っていますが、人数を考え、最後まで冷めないような心遣いが大切です。手早く、こぼさないように、また飲み口のぬぐいにも気をつけます。
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